サワードウ・スターター(発酵種)の作り方

パンが膨らむには酵母が必要。その酵母には「天然酵母」と「人工酵母」があります。天然酵母はリンゴやブドウに水を加え発酵させた液、そして人工酵母は、よくドライイーストと呼ばれる酵母菌を濃縮して乾燥させたものです。
でも、天然酵母よりさらに古く、パンづくりに欠かせないのがサワードウなのです。材料は水と粉、配分は常に1対1。紀元前1600年ぐらいのエジプトでは、この発酵種「サワードウ」を使っていたわけですが、水と粉さえあれば出来たのですから、リンゴやブドウから天然酵母を作ることが出来なくても、美味しいパンを焼くことは出来たのですね。戦場でも長い旅でも、昔はこのサワードウを抱えていったそうですが、丁度、日本の糠味噌のぬか床みたいな感じですね。
今日ご紹介するのは、サワードウ・スターター、あるいはマザー・ドウと呼ばれるものです。実は、サワードウ、継ぎ足して使い続けることができることから、その大元となるものをスターターと呼んだり、マザーと言ったりしているのです。で、ここでは統一して「サワードウ・スターター」と呼ぶことにしますね。
サワードウ・スターターには二種類あります。一つは、ハイドレーション・ホワイト・フラワー・スターター(Hydration White Flour Starter)もう一つは、ファーム・サワードウ・スターター(Firm Sourdough Starter)。一つめの、ホワイト・フラワー・スターターは、フレンチバゲットなどの白いパンを焼くときに、もう一つのファーム・サワードウ・スターターは全粒粉やライ麦パンを焼くときに使いますが、二種類を使い分けなくてもいいし、どんな小麦粉でもできます。ホワイト・フラワー・スターター(Hydration White Flour Starter)には小麦粉を。ファーム・サワードウ・スターター(Firm Sourdough Starter)には全粒粉を使います。二つ作っておくと、パンに合わせて利用できますが、どちらか一つであれば、ホワイト・フラワー・スターター(Hydration White Flour Starter)をお勧めします。

*材料 
小麦粉 水 容器
・水道水は塩素が入っているので菌の繁殖力に影響する、という話がありますが、気になる時はペットボトルの水を使用してください。・気温は常に室温(26度ぐらいが理想)・容器はフタ付き
*作り方
-1-
小麦粉と水を、カップ1/4づつ容器に入れて混ぜる。
混ぜ終わったら容器のフタを軽く乗せておく。
-2- 8時間後
小麦粉と水を、カップ1/4づつ追加し混ぜる。
混ぜ終わったら容器のフタを軽く乗せておく。
-3- 16時間後
小麦粉と水を、カップ1/4づつ追加し混ぜる。
混ぜ終わったら容器のフタを軽く乗せておく。
-4- 24時間後
小麦粉と水を、カップ1/4づつ追加し混ぜる。
混ぜ終わったら容器のフタを軽く乗せておく。
-5- 32時間後
小麦粉と水を、カップ1づつ追加し混ぜる。
混ぜ終わったら容器のフタを軽く乗せておく。
酸っぱいような発酵酒のようなにおいがするはずです。もう二三日、このままにして時々かき混ぜ空気を入れます。そしたら、出来上がり。冷蔵庫に入れておくと発酵が止まりますから、フタをして冷蔵庫で保管してください。

これをイーストの代わりにしてパンを作るのですが、その時の配分はスターター1:粉2:水2 、それに塩です。かなりパン種がゆるくできますが、簡単に混ぜて、12時間放置します。(冬は室温、夏は冷蔵庫)。12時間経ったら、260度にオーブンを設定し、フタ付きのお鍋を10分その中で加熱し、パン種を入れて20分フタをして焼きます。それからフタを外して15分焼いて完成。
スターターをカップ1使ったら、水と粉それぞれカップ1、をスターターに加え、かき混ぜて室温でしばらく放置して冷蔵庫へ。ちなみに、スターターは常に冷蔵庫にありますから、発酵力が足りなくなってくる時があります。その場合は、水と粉を追加した時点でティースプーン一杯ほど砂糖を混ぜて室温で長めに放置します。スターターはこうしてずっと使い続けられます。よく育ったスターターはモチモチして、瓶を逆さにしても落ちないくらいコシがあります。